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久しぶりに読んだ小説の記録|住野よる『告白撃』

久しぶりに読んだ小説の記録|住野よる『告白撃』

2024.06.12

こんにちは、アルバイトの藤森です。

皆さんは最近、読書していますか?

私は大学生になって学術書を読むようになったのと引き換えに、趣味の小説にほとんど手を付けられていませんでした。

先日久しぶりに小説を読んで、やっぱりこの世界観からしか得られない充実感がある、と実感し、ブログの題材とすることを決めました。

 

と、いうことで、今回のテーマは読書記録です。

私が大好きな作家である住野よるさんの最新作『告白撃』の感想を綴ります。

(※ネタバレのないよう努めますが、これから読む予定のあるかたはぜひ読後にご覧ください!)

 

あらすじ−

親友に告白されたい。そして断りたい。

かけがえのない友情のため、罪深い大作戦が幕を開ける!

三十歳を目前に婚約した千鶴は、自分への恋心を隠し続ける親友の響貴に告白させるため、秘密の計画を立てていた。願いはひとつ。彼が想いを引きずらず、前に進めるようになること。

大人のやることとは到底思えないアイディアに呆れつつも学生時代からの共通の友人・果凛が協力してくれることになったが、〈告白大作戦〉は予想外の展開を見せ――。

ものわかりのいい私たちを揺さぶる、こじれまくった恋と友情!! (「あらすじ」より引用)

 

−感想−

◆「あの頃」から少しだけ年を重ねた大人たち

本作は、著者の作品の中でも登場人物の年齢層が高い。大学の同期である主要登場人物全員が、約三十歳となっている。

彼らは年齢を重ねた「大人」であり、自分の気持ちや言動に理性的だ。

だからこそ本作で、己のずるさや身勝手さを自覚しつつも、自分の想いや目の前の友人に真剣に向き合う彼らの姿に、心打たれた。

大人故の器用貧乏な心の読み合いと、逆に大人になったからこそぶつけあえる本音は、本作最大の魅力であるように思う。

また、社会人としてそれぞれの道を歩みながらも、学生時代から変わらず続く交友関係に憧れを抱いた。私自身、現在大学最後の年を迎えており、今の友人たちとの関係がこれからどうなっていくのか、先の見えない不安と彼らを重ねて読んでしまった。

願わくば、離れ離れになってもライフスタイルが変わっても、たまに会っていつものように笑いあえる関係性でいたいと思う。

 

◆記憶を呼び起こす鍵としての〈匂い〉

本作には、〈匂い〉の表現が繰り返し登場する。単に何かの香りという意味ではなく、もっと象徴的な意味を持って。

例えば、学生時代の楽しい日々を想起させる「夢の匂い」という表現があったり、

千鶴が感じている響貴からの恋心を「梨の香り」で表現したり。

そうした〈匂い〉は刹那的でありながら、思い出とリンクして記憶を呼び起こすものとして機能する。

儚くも確かにそこに存在するもの、人の心を瞬間的に動かすものとして、この〈匂い〉が効果的に用いられているように感じた。

 

◆ラスト一文の引力

住野さんの作品はいつだって、最後の一文まで目が離せない。

むしろ最後の一文にこそ、住野節がぎゅぎゅっと込められているような気がしてならない。

今回も、今の私に強烈に刺さる一文だった。この機会に、全作品のラスト一文を見返してみるのもいいかもしれない。

 

長くなりましたが、私の読書記録は以上です。

学生時代を共に過ごし、大人になった彼らの〈友情〉の行き着く先を見届けたくなった方は、ぜひこの本を手にとってください。

そしてあわよくば、C3にいらして感想を語ってください!(笑)

 

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。次回もお楽しみに!

 

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